日本では非正規雇用の割合は年々増え続け、格差が広がりつつあります。 総務省統計局が2019年8月に発表した「労働力調査」によると、就業者6731万人のうち非正規雇用者は2174万人にのぼり、働く人の3割以上を非正規雇用者が占める計算になることが分かっています。 厚生労働省が行った「就業形態の多様化に関する総合実態調査」の結果から非正規雇用を選んだ理由に迫ると、「正規雇用として働ける会社がない」と答えた人が18.9%にのぼり、 正規雇用を希望しているものの就職がうまくいかずに非正規雇用を選択している労働者も少なくないという実態があることが浮き彫りになっているのです。

その中、同一労働同一賃金を定めた「働き方改革関連法案」が成立し、2020年4月から施行されます。 皆さんは 同一労働同一賃金 という制度をご存じですか。 今回は同一労働同一賃金について解説します。

同一労働同一賃金とは

同一労働同一賃金の導入は、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者) と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すために始まった制度です。

日本では非正規社員が増えているにもかかわらず、正社員と同じような仕事をしている人は少なくありません。 しかし、非正規社員というだけで給与や手当、福利厚生など、正社員との間にさまざまな雇用格差があるのが現状です。1番分かり易いものでいうと、通勤手当です。仕事の成果によって給料が違うのはわかりますが、本来非正規であることが通勤手当をもらえない理由にはなりません。出社しているすべての人がもらえるはずの通勤手当が支給されないなど、非正規への冷遇は多々あります。新型コロナウイルスでの対応でも、正社員は待機勤務、非正規社員は欠勤扱い、という企業があり、問題になっています。

非正規雇用のメリット・デメリット

メリット

  • 1日8時間・週5日などのフルタイムで期限を設けずに働くことが大前提となる正規雇用と異なり、 労働者個別の契約となるため、子育てや介護などで就労に制限がある人でも働ける
  • 希望の企業に入社しても転勤や出向などの業務命令を受ける場合も考えられる正規雇用と異なり、希望職種に絞って就労先を探すことができる。 入社後も当初の職務から大きくかけ離れることは少ない。

デメリット

  • ボーナスが支給されないなどが当たり前な上、年齢に応じた賃金の変化が極めて少なく、正規雇用との格差が大きい
  • 雇用期限を定めない正規雇用に比べ 、 安定した雇用が得にくく、不安定
  • 契約期間が定められるケースが多く、契約時の職務内容が継続される場合がほとんどで、業務を通じた成長の機会が限定されがち

実現に向けて  ~大企業と中小企業の違い~

大企業は、2020年4月から義務化されています。 既に始まった大企業では「時短勤務につながった」と評価する声がある一方「もっと働きたいのに一律に時間管理されることへの不満がある」との声もあるのが現状です。 中小企業の場合、少し遅れて2021年4月から義務化されますが、 1年間の適用猶予があるとはいえ、多くの企業で人手不足を非正規雇用で補っている現実があり、実現が難しいのです。

実現に向けて    ~事業主と労働者~

同一労働同一賃金ガイドライン

これは、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で、待遇差が存在する場合に、いかなる待遇差が不合理なものであり、いかなる待遇差は不合理なものでないのか、原則となる考え方と具体例を示したものです。

OBC360° より https://www.obc.co.jp/360/list/post101

事業主への支援

  • 事業主に取り組んでほしいことを解説した動画の配信
  • 自社の状況が改正法の内容に沿ったものか点検をすることができる 「パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書」
  • 非正規雇用の待遇改善に取り組む事業主に対する「働き方改革推進支援センター」による無料相談支援(電話相談、事業所訪問)
  • 非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する「キャリアアップ助成金」の支給
  • パートタイム労働者と正社員との基本給に関する均等・均衡待遇の現状を確認し、等級制度・賃金制度を見直す際の一助となる 職務分析・職務評価の導入支援                           

労働者への支援

都道府県労働局雇用環境・均等部(室)において、正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者との間の不合理な待遇差に関する相談の他、法のその他の規定に関する相談に応じています。

世の中には、 正規雇用 で働きたくても親の介護や子供の世話で非正規にならざるを得ない人がたくさんいます。非正規雇用の増加は安い労働力を使いたいという企業側の本音が反映されてしまっているのです。これは、母子家庭の貧困化ワーキングプアの増加などの社会問題を引き起こしています。 働き方が多様化している今、同一労働同一賃金の導入はすべての人が能力や仕事量に見合った給料をもらうための働き方改革の一歩になるのではないでしょうか。