今年1月に経営労働政策特別委員会の場で、経団連は新卒一括採用と終身雇用、年功序列を柱とする日本型雇用制度の見直しを強調しました。加えて海外のような「ジョブ型」雇用を積極的に行うべきと訴えました。

日本経済新聞社の「社長100人アンケート」によると、ジョブ型雇用を導入しているもしくは導入を検討している企業が63%に上るとされ、働き方改革に関する施策も数多く施行されてきています。

そこで経団連が推奨する「ジョブ型」に注目し、日本と海外の働き方の違いを見ていきたいと思います。

ジョブ型雇用とは?

まずジョブ型雇用とはどういったものなのでしょうか?

日本ではジョブ型に対して「メンバーシップ型雇用」が主に採用されていました。メンバーシップ型雇用とは先ほど経団連が見直しを行うとした、「年功序列」や「終身雇用」を前提としており、人に仕事を割り当てる雇用形態です。
これに対して「ジョブ型雇用」は実力主義を前提としており、仕事に人を割り当てる雇用形態になります。

互いにメリット、デメリットがあり、メンバーシップ型雇用のメリットは「雇用が安定している」という点です。終身雇用のため解雇のリスクが少なく、年齢を重ねるにつれ給与も上がるため、働く側は安心して働くことができます。
そして若い人材に対して教育を行うということが前提としてあるため、経験がない若い人材も仕事に就きやすくなるのです。
対してジョブ型は実力主義のため、一人一人の生産性が高いことがメリットにあります。結果が出なければ解雇されるリスクもメンバーシップ型と比べて高いため、責任感も高いといえます。

ドイツと比べた日本

こうした前提を踏まえ、日本と海外の働き方についてみていきたいと思います。

世界だと対象が広すぎるため、先進国の中で比較的日本と人口が近く、真面目な気質も似ていると言われるドイツと比較していきます。
下の図は日本生産性本部の「労働生産性の国際比較」から作成したグラフです

これを見ると、時間当たりでも1人当たりでもドイツのほうが日本の労働生産性よりも高いことが分かります。

・時間当たりだとドイツより47%低い
・1人当たりだとドイツより20%低い

いったいこの差は、なぜ生まれてしまうのでしょうか?
今回は主に2つの理由を挙げて説明していきたいと思います。

雇用形態の違い

1つ目は、雇用形態の違いがあります。
先ほど触れたようにようにジョブ型雇用は実力主義であるため、一人ひとりの成果への意識が違います。成果を出さないと自分の職の保証はありません。
対してメンバーシップ型雇用は終身雇用なので、何もしない人が出てきてしまいます。この2つの要素が相まって、この差が生まれてしまうと考えられます。

そして実力主義でないということは、競争意識が薄れ、一つの仕事に対してより早く終えようという動機も働きにくくなります。遅くまでオフィスに残っている人が評価されがちな側面も一つの原因として挙げられるでしょう。

パーキンソンの法則

「パーキンソンの法則」というものをご存じでしょうか?
そのなかの第1法則において、「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」とされています。
例えばある仕事を行うのに1週間与えられたとします。そうした場合、一週間まるまるを1つの仕事に使ってしまう、ということをこの法則は示唆しています。
ジョブ型雇用では成果が評価に直結するため、仕事の納期とスピードは個人に委ねられます。本当に生産性が高い人は、1日や2日と自分で納期を区切り、その時間で終えられる方法を考え、達成していきます。
そのためジョブ型雇用と比べてメンバーシップ型雇用ではこの法則が悪い方向に働きやすいといえます。

そのため、一つの仕事に対してより時間がかかってしまうと考えられえます。

組織の違い

これは日本と海外で顕著に異なります。
日本は組織がフラットではなく、上司、部下という明確なヒエラルキーが存在している会社が多くあります。しかし、海外では組織がフラットな会社が多いです。勿論、海外でも役職の違いはありますが、日本と比べて現場の社員でもはっきりと物事を主張できる雰囲気が作られています。
なぜ日本ではあまりそういった雰囲気が作られていないかというと、上司の評価が自分の給与に関わるため、上司に対する心象を良くしようという人間心理が働くためです。そして日本では海外と比べて上下関係が厳しいこともあり、この2つの要素が影響することで、ヒエラルキーが構成されやすいと思われます。

まとめ

日本と海外の働き方の違いについてご紹介しました。
ドイツには他にも労働時間貯蓄制度という残業時間を貯め、溜まった労働時間を有給休暇にできるという制度もあります。
勿論、そうした残業時間に関しての取り組みは大事ですが、今回の内容から労働時間だけでなく、一人一人の意識の差も重要となります。
そのため、ただ単に残業時間を減らすことが働き方改革ではないということが、働き方改革を進めるにおいて頭に入れておくべき点だと考えられます。